手抜き工事による雨漏り
年間数十件に及ぶ雨漏り修理工事をしておりますが、現場にお邪魔してみて「えっ!」とつい声が出てしますケースが年間数件あります。築年数が浅い物件もしくはリフォームしたばかり、しかも単純な形、通常の材料で施工してある住宅で雨漏りが発生しているケースです。チョッとここ1年間の事例を・・・
1.木造住宅築11年 ベランダおよび外壁
ベランダシート防水(木造でシート防水はあまりお薦めしません)
ウッドデッキがしきこんでありますが(H300mm)床板を外せるところがないため、防水面及び排水口の清掃ができません。しかも図面上2ヵ所あるはずの排水口も1つしかなく、ベランダ面積に対する排水量にも?結果排水口が泥や落ち葉などで詰まり、ウッドデッキの下はプールの状態に・・・・水の深さを測ってみると13cmほどたまっていました。排水口周りから(たぶん水圧がかかったためと思いますが・・)ベランダの下の階にある車庫の天井・内壁基礎周りから水が染み出してくる状態です。メンテナンス用の床板点検口を作製しつまりを解消しました。
窯業系サイディングの外壁も軒先のないつくりのため水がしみこみ変形し、コーキングがきれ窓周りに相当の水が入り(幸い内部には漏水はありませんでした)胴縁が腐っていました。予算もあるため、外壁は部分補修+コーキング打ち替え、全面塗装を施しました。ベランダはウッドデッキの解体と新規作製が高くつくため、新たに作った点検口からこまめに排水口の掃除などメンテナンスをしていただくこととしました。その後雨漏りは発生していません。
2.木造住宅 外壁リフォーム後1年
外壁からの漏水と思われる雨漏りが発生し、リフォーム業者さんから外壁リフォームを勧められ、外壁の全面カバー工法で施工。施工後も漏水が止まらず、弊社にお電話いただきました。サッシ枠からの漏水と推測し修理工事を行いました。その後は漏水はなくなりました。
3.木造住宅築9年 横葺屋根(板金)
寄棟の横葺屋根です。教科書に出てきそうなくらい基本的な屋根板金工事ですが、雨漏りが発生。普通は雨漏りは考えにくい屋根ですが・・・棟と軒先の唐草の納め方がおかしく、棟から内部に入った水が悪さをしたようです。
4.ベランダ排水口より雨漏り 築?年
ベランダの排水口の真下、家の顔である玄関の天井・壁から大量の漏水・・・
靴はビチョビチョにぬれていました。排水口の詰まり(新築工事中の材料が出てきました。)と配管の割れが原因です。天井に穴を開け、天井点検口を着け配管を取り替えたところ漏水はピタリと止まりました。
5.番外・・・これはチョッと手抜きとはいえませんが・・・
塗装リフォームをされたばかりの木造住宅でベランダの真下にあるリビングへの漏水。防水は悪くないため、外壁だろうということでリフォーム業者さんが外壁のすべてのコーキングを打ち替え塗装。しかし漏水は止まらず・・・ありとあらゆることをされたそうですがとうとうギブアップ!弊社にお施主様からお電話をいただき、修理をさせていただきました。こちらも原因はサッシ周りです。ベランダの防水とサッシの間、サッシ自体を修理したところ、漏水はピタリと止まりました。
築年数が過ぎ材料が劣化して起こる雨漏りはお施主様も「仕方ない」と納得されると思います。しかし今回の事例はほぼすべて施工側の手抜き、知識不足、技術不足が原因と思われます。「近年はデフレ経済で施工単価もかなり下がり十分に手間をかけないで工事する業者もいますよ。一工程抜いているんだから、詐欺です!安請け合いするのは勝手ですが、きちんと施工しないのは問題ですよ(怒)」と某メーカーさんの営業マンからお伺いした事もあります。
私は防水工事と板金工事の経験がありますが、幸いな事にきっちりと基本どおりの施工をする職人と仕事をさせてもらいました。雨漏りは見えない部分を見なくてはいけないため、どこがおかしいとこのような漏れ方をするのかきっちりと予測し、基本に忠実な補修をしなくてはなりません。しかしながら手抜きや技術不足、知識不足での施工は、予想外の雨漏れを起こす場合もあります。見た目だけはきちんとしていますが、開けてみたらデタラメだらけなんてこともあります。
きちんとした施工をすることで雨漏りは修理できますし、雨漏りを防ぐ事もできます。屋根は屋根、ベランダはベランダ、外壁は外壁の役目をしなければせっかくの家もただただ無駄な費用をかけただけの代物になってしまいます。